確か一昨年頃だったと思いますが、私は、朝日新聞出版から順次刊行されていた全50号の「週刊 マンガ日本史」というシリーズの、足利尊氏(13号)、足利義満(14号)、足利義政(15号)の3冊を書店で購入しました。
この「週刊 マンガ日本史」は、日本史の偉人のうち特に50人をピックアップして、各号で一人を特集し、その人物の生涯(大まかな概要)や主要エピソードなどをマンガで再現するというシリーズで、このシリーズで室町幕府の将軍は、前記の3人が取り上げられていました。個人的には、足利義詮、足利義教、足利義輝、足利義昭なども取り上げて貰いたかったですが、まぁ、世間一般の評価としては、尊氏・義満・義政以外の足利将軍は、やはりマイナーな存在なのでしょうね(笑)。
この3冊それぞれのマンガを一読したところ、義満と義政の2人については、世間一般が恐らく両者に抱いているであろう通りのイメージにほぼ沿った描かれ方でした。
即ち、義満は、「室町幕府の最盛期を築いた将軍」「絶対的な権力者」「有能ではあるが傲岸不遜」な人物として、義政は、「文化人、もしくは文化を支援する立場としては一流の人物、但し政治家としては限りなく無能」「応仁の乱の原因をつくった張本人のひとり」として、それぞれ描かれていました。
それに対してし、尊氏の描かれ方は、私にとっては意外でした。
昨年11月6日の記事で書いたように、私は尊氏に対しては、「気弱で優柔不断で決断力にも欠ける、どことなく頼りない武将」「信長・秀吉・家康のように自ら積極的に運命を切り拓いて突き進んでいくタイプの武将ではない」「元から地位も名誉もあるお金持ちで、それ故少し世間知らずな所もある“おぼっちゃん”ではあるけれど、その割には傲慢な所や私利私欲は全く無く、育ちがいいだけあって物惜しみもせずいつでも気前が良く、性格も寛容」という人物像を抱いています。
足利尊氏とは、武家の棟梁の割には、性格や言動はあまり英雄らしくはなく、しかし、英雄にとって重要な要素である“人を惹き付ける魅力”は確実に持っており、その魅力や人望、そして強運によって、幾度となく訪れた困難を乗り切り、環境や運命に半ば強いられる形で表舞台に立ち続けた複雑で屈折した人物である、と私は解釈しているのですが、「週刊 マンガ日本史」13号のマンガで描かれていた尊氏は、私のイメージとはほぼ真逆で、強力なリーダーシップを発揮し、自ら果敢に運命を切り拓いて突き進んでいくタイプの猛将でした(笑)。
以下に、このマンガの一部を転載します。尊氏のビジュアルも、何だか今風の若者です(笑)。
…というわけで、兎に角このマンガでの尊氏は勇ましく、「この鬼の刃が足利の時代を斬り開く!」「乱世に挑む気概のある者は我とともに戦え!!」なんて勇ましいセリフも言っちゃいます。凄くカッコイイけれど、私の知っている尊氏ではありません(笑)。
あと、上に転載したマンガにも登場していますが、このこのマンガでは、後醍醐天皇も何だか凄いです。過剰なまでにダークな面が強調されていて、まるでゲームでいう“ラスボス”のような、あるいは、全てを意のままに操るフィクサーであるかのような、独特・異様な雰囲気を醸し出しています。こちらも、私の知っている後醍醐天皇ではありません(笑)。
「週刊 マンガ日本史」シリーズでの、義満や義政についての内容は私の予想の範囲内でしたが、尊氏については、私にとっては何とも斬新でした(笑)。
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