この世は夢のごとくに候

~ 太平記・鎌倉時代末期・南北朝時代・室町幕府・足利将軍家・関東公方足利家・関東管領等についての考察や雑記 ~

湊川神社公式による亀田先生ブロックの件について

楠木正成

南北朝時代を代表する名将で「大楠公」「忠臣の鏡」としても広く知られる楠木正成を主祭神としてお祀りする、神戸市中央区多聞通に鎮座する湊川神社さんについては、平成25年3月11日の記事平成26年1月20日の記事などでも紹介しましたが、その湊川神社さんのツイッターでの公式アカウントが、先週、以下のようにツイートしました。

湊川神社公式のツイート


湊川神社公式アカウントの所謂「中の人」が、今から680年以上も昔に御祭神を敗死(合戦で破って自刃)させた足利尊氏に対して、わざわざ怒っている事を表わす絵文字まで使いながら露骨に怒りの感情を露わにしている事には、正直ちょっと驚きました。

ここまで御祭神への尊崇の念が強い事に対して、私としては「思い入れが凄いなぁ!」と、ちょっと感心しました。少なくとも、神明奉仕する立場の神職としては、多分これは悪い事ではないのだと思います。
と同時に、例えば、建勲神社で奉仕する神職も御祭神(織田信長)を討った明智光秀に対して、また、豊国神社で奉仕する神職も御祭神(豊臣秀吉)の一族を根絶やしにした徳川家康に対して、同じような感情を抱いているのだろうか? とも思いました。

私自身は、正成も尊氏も、どちらも武将としても一人の人間としても大変魅力的であり、個人的には二人とも好きな偉人で、その「二人とも好き」という思いに何ら矛盾は無いと思っています。
武田信玄と上杉謙信、織田信長と松永久秀、織田信長と明智光秀、徳川家康と豊臣秀頼、西郷隆盛と大久保利通、三国志の劉備と曹操なども、最終的には敵対し戦い合いましたが、これらの組み合わせの二人を同時に好きであると公言する人に対して、それは矛盾している、などと指摘する人は少ないでしょう。

それだけに、私としては「どちらか一方が好きな余り、もう一方を過剰に貶める」という考え方には同意しかねますが、ただ湊川神社は、正成の単なる記念館や顕彰施設の類ではなく、正成を神として崇める信仰の最大拠点となる宗教施設であり、その信仰や尊崇は当然、「南朝こそが正統である」という史観を継承しているわけですから、そういった事も踏まえると、湊川神社のツイートの内容については「まぁ、然もありなん」という気はします…。



とはいえ、それ以上には特に思う事は無かったため、このツイートの見た翌日には、このツイートの事はもう忘れていたのですが(笑)、その後、南北朝時代に於ける室町幕府の政治史・制度史を専門としている歴史学者の亀田俊和さんが、湊川神社のこのツイートを、自身のコメントを付けた上でリツイートし、それを切っ掛けに湊川神社のアカウントが亀田さんのアカウントをブロックした事により、事態が大きく動き出しました。








神社公式(の担当者)が亀田さんをブロックした事に対しては、賛否両論が湧き起こっていますが、現状では、神社が一個人をブロックしたのはやり過ぎ、という意見のほうが圧倒的に多いように見受けられます。

以下に貼付のツイートは、いずれも「神社がブロックしたのは問題」という立場(湊川神社を批判し亀田さんを擁護する立場)のツイートです。私自身は、「神社公式であるなら、ブロックはせずに単にミュートすれば良かったのでは」と思っているので、どちらかと言うとこの立場に近いです。


































そして、以下に貼付のツイートは、いずれも「神社がブロックしたのは当然」という立場(亀田さんを批判し湊川神社を擁護する立場)のツイートです。私が探した限りでは、少数派の意見です…。









以下に貼付のツイートは、いずれも「どちらの立場でも無い」というスタンス(明確にどちらか一方を擁護したり批判したりしていない立場)の内容のツイートです。様々な意見がありますね。











というわけで、現時点では、これを以て「炎上している」と言っていいのかどうかはちょっと微妙な感じですが、今後の動向によっては、「このまま収束」の可能性も、逆に「大炎上」の可能性も、どちらも有り得そうですね…。

ちなみに、正成と尊氏の世間から評価の変遷については、前編・後編の2編に分けた以下の記事2本で詳述しましたので、宜しければこれらの記事も併せて御一読下さい。これらも読んで戴ければ、尊氏を激しく批判する人達や、逆に擁護したりする人達がいるのは、歴史的には「いつものこと」とお分かり戴けると思います(笑)。
http://muromachi.blog.jp/archives/1005416353.html
http://muromachi.blog.jp/archives/1005416624.html




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楠木正成の命日

楠木正成といえば、特に明治以降は「日本史上最大の軍事的天才」「大戦術家」「希代の英雄」「南北朝時代のみならず日本の全時代を代表する名将のひとり」などの高評価・賛辞を受け、只管後醍醐天皇に忠義を尽くし一貫して南朝を支え続けた忠臣「大楠公」として、現在も尊崇を受けていますが、今日はその楠木正成の命日です。




下の絵(埼玉県立歴史と民俗の博物館蔵)は、湊川の地で弟の正季(まさすえ)と差し違えて自刃しようとする正成を描いたものです。太平記によると、楠木兄弟はこの時に所謂「七生報国」を誓ったとされています。

湊川で自刃する楠木正成


明治5年、楠木正成を御祭神としてお祀りするため、正成の墓所・殉節地のある神戸市中央区の湊川に「湊川神社」が創建され、現在正成は同神社にて主祭神としてお祀りされています。私も湊川神社へは今まで何度かお参りに行っています。
ちなみに同神社では、本日ではなく、正成が自刃(殉節)した日を新暦に換算した7月12日を、例祭日としています。




なお、湊川神社については、以下の記事(7年も前にアップした古い記事ですが)で詳しく紹介させて頂きましたので、こちらの記事も是非併せて御一読下さい。
http://muromachi.blog.jp/archives/1005035648.html

以下の記事には、平成18年5月に私が皇居外苑南東の一角で見学・撮影してきた、楠木正成騎馬像の写真をアップしております。私の中では、正成といえば、この騎馬像の凜々しいイメージです。
http://muromachi.blog.jp/archives/1005055237.html


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最近は私も「Stay Home」で南北朝時代や室町時代を楽しんでいます

先ず以て、現在世界各国及び日本全国で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって亡くなられた方々の御冥福を、心よりお祈り申し上げます。
そして、同感染症に罹患し現在も治療を受けておられる方々や、同感染症の感染拡大によって生活に多大な影響を受けておらる方々に、心からお見舞い申し上げます。


それにしても、新型コロナウイルス感染症の拡大と、それに伴う経済活動の縮小・自粛の流れ、止りませんね…。
法的な強制力や罰則こそないものの、現在政府や各都道府県知事は私達国民に対して、これ以上の感染拡大を阻止するため不要不急の外出自粛を、所謂「Stay Home」を、強く要請しており、そのためここ数日間大人しくずっと家に籠ってストレスが溜まっている、という方も少なくはないと思います。
その一方で、この機会を利用して、まだ未読だった本を何冊もまとめて読んだり、まだ見ていなかったDVDや未視聴だった録画済の番組を一気に見ている、という方も多くいらっしゃるでしょう。実際、本やDVDなどの売り上げは最近伸びているみたいですし。

私の場合、仕事は在宅勤務にはなっておらず、今も平常通り毎日職場に出社しているため(そもそも在宅勤務出来ない仕事なんて世間には山ほどあり、誤解を恐れずに言えば、在宅勤務が出来る環境の人は恵まれているとも思います)、家にいる時間が格段に多くなったというわけではありませんが、ただ、帰宅した後の時間や休みの日などに外出する機会は時節柄当然減ったため、今までに比べるとやはり家にいる時間は多くなりました。
そのため私も、主に深夜や早朝などになりますが、最近は今まで以上に読書をしたりDVDを見るなどしています。


以下の写真4枚はいずれも、私がここ10年程で購入した、南北朝時代や室町時代に関する書籍です。まだあると思いますが、とりあえず目についたものだけをズラっと並べてみました。御覧のように、専門書はほぼ無く入門書ばかりですが(笑)。コミックや児童書もあります。
これらの本の中にもまだ未読の本が少なからずあるので、最近ぼちぼち読んでいます。

図書_01

図書_02

図書_03

図書_04


昨年12月12日付の記事で詳述したように、私は昨年、NHK大河ドラマ「太平記」完全版のDVDを購入したのですが、最近はそのDVDも何回か見ています。いやぁ、この作品、本当に面白いですね!
以下の画像4枚はいずれもこの作品に関するもので、1枚目はこのDVDのパッケージ、2枚目は作中の主要な登場人物達の相関図、3枚目は主要な登場人物達の集合写真、4枚目は足利家の人達を演じた役者さん達の写真です。

DVD「太平記」完全版

大河ドラマ「太平記」登場人物 相関図

大河ドラマ「太平記」 主要登場人物 記念撮影

大河ドラマ「太平記」 足利家主要人物


戦国時代や幕末などの関係書籍に比べるとまだまだ少ないですが、それでも近年は、「応仁の乱」や「観応の擾乱」関係の書籍がヒットするなど、空前の室町時代ブームが到来しています。今後、更に室町時代関係の書籍やDVDなどが増える事を期待しています!

南北朝時代や室町時代は、大きな戦乱が多く(室町時代後期は戦国時代と云われるくらいですし)、時には飢饉や疫病も流行するなど、非常に多難な時代でしたが、そういった意味では、戦乱や飢饉こそ無いものの疫病がここまで世間を混乱させている現在も、かなり多難な時代といえます。
大変ささやかながら、新型コロナウイルス感染症に感染して現在治療を受け闘病されている方々の平癒と、同感染症が一日も早く鎮静化し全ての人達に平穏な日々が戻ります事を、国民が一丸となってこの多難を乗り越える事が出来ますよう、改めて心より祈念申し上げます。


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人気学習漫画「日本の歴史」、期間限定で無料公開中!

「学習まんが 少年少女日本の歴史」_01

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、現在、全国各地の小中学校等が休校になっておりますが、その休校措置を受けて外出出来ず家にいる子供達のため、小学館が以下のページにて、期間限定ながら「学習まんが 少年少女日本の歴史」全24巻の無料公開を始めました。

https://kids-km3.shogakukan.co.jp/

37年間愛され続け、かつて読んだ事があるという人も多いであろうあの名作が、ネットに接続出来る環境さえあれば誰でも見る事が出来ます。これは、子供のみならず大人にとっても嬉しい、素晴らしい企画ですね!
何年生の時だったかは忘れましたが、昔、私が通学していた小学校の教室の後ろの棚にも、このシリーズが “常設の図書” として何冊か置いてあり、そのため私も、全巻通読はしていないもののこのシリーズのうち何冊かは、繰り返し読んだ事があります。結構面白かったですね!

全24巻の内容は、以下の通りです。
① 日本の誕生
② 飛鳥の朝廷
③ 奈良の都
④ 平安京の人びと
⑤ 貴族のさかえ
⑥ 平の戦い
⑦ 鎌倉幕府の成立
⑧ 南朝と北朝
⑨ 立ち上がる民衆
⑩ 戦国大名の争い
⑪ 天下の統一
⑫ 江戸幕府ひらく
⑬ 士農工商
⑭ 幕府の改革
⑮ ゆきづまる幕府
⑯ 幕末の風雲
⑰ 明治維新
⑱ 近代国家の発展
⑲ 戦争への道
⑳ アジアと太平洋の戦い
㉑ 現代の日本
㉒ 人物事典
㉓ 史跡・資料館辞典
㉔ 平成の30年

「学習まんが 少年少女日本の歴史」_02

この機会に、興味のある時代だけでもまた読み直してみようと思い、とりあえず先程、8巻「南朝と北朝」を、PCの画面で読んでみました。
あの複雑極まりない時代状況を限られたページに収めているため、どうしてもダイジェスト版的な内容になっている感は拒めませんが、それでも、南北朝の争乱や観応の擾乱などを小学生向けに解説している学習漫画は少ないため、やはり貴重な作品ですね!


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伝説の霊獣「麒麟」(きりん)

4回連続でまた大河ドラマの話題となり恐縮ですが、先月から放送が始まった、室町時代末期(戦国時代)を舞台とした本年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」、今のところ視聴率もかなり高いようで、結構話題になっていますね。毎週放送される度に、ネットニュースでも「麒麟がくる」の内容や登場している俳優の話題が取り上げられていますし。
現時点ではまだ4話までしか放送されていないものの、好評のため、1~3話までが連続して再放送されたりもしましたがこれも異例の事のようです。

私個人としては、第2話のラストで斎藤道三が、実態は兎も角建前としては主君であるはずの(しかも娘婿でもある)土岐頼純を毒殺するシーンが、特に印象に残りました。
毒殺した側の道三を演じた本木雅弘さんと、毒殺された側の頼純を演じた矢野聖人さん、双方の熱演・怪演は鬼気迫るものがあり、「さすがプロの役者さんだな!」と大いに感心させられました。
「麒麟がくる」序盤の現在は、主人公である光秀は特にまだ目立った活躍はしておらず、実質、道三が主人公みたいな感じですね(笑)。

本木雅弘さんが演じる斎藤道三


以下の写真2枚は、昨年8月に私が九州(福岡市・熊本市太宰府市など)を旅行した際にお参りした太宰府天満宮の境内で撮影した「麒麟(きりん)」の像です。
本年の大河ドラマ「麒麟がくる」のタイトルにもなっている、仁政を行う王の元に現れるとされる伝説の霊獣「麒麟」は、これの事です。何となく、西洋の霊獣「ユニコーン」にも似ています。

太宰府天満宮の麒麟の像_01

太宰府天満宮の麒麟の像_02

実在の動物のキリンは、この霊獣「麒麟」に似ている事から、そう呼ばれるようになったそうです。ちなみに、東洋に於ける伝説の霊獣としては、麒麟の他には、霊鳥の「鳳凰(ほうおう)」が有名です。
現在、一般に広く普及している本将棋(古式でいう小将棋)には存在しませんが、古式将棋である「中将棋」や「大将棋」には、「麒麟」や「鳳凰」などの駒も存在します。


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